舌や口の痛み・痺れ

舌のヒリヒリにトリンテリックスとリリカの併用は有効?

「異常なしと言われたのに、舌や口の中が毎日ヒリヒリする。トリンテリックスを飲んでも十分に変わらず、リリカを足すべきか迷う」――。2025年の比較試験では、抗うつ薬単剤で反応しなかった人の併用治療で、52週後に約6割が研究上の「反応」に達しました。ただし、プレガバリンを加えない群がないため、併用効果はまだ確定していません。診断と副作用を確認したうえで検討する選択肢の一つです。

薬の追加か診断の見直しか迷う段階でも、当院の初回無料相談で状況を整理できます。相談だけで処方が決まるわけではありません。

この記事の要点

  • 併用は単剤で不十分な場合の候補
  • 52週の反応率は61.8%、比較群58.2%
  • 早期反応はトリンテリックス併用群で多かった
  • 併用そのものの効果は未確定
  • 眠気やふらつきなどの確認が必要

この記事はこんな方に向けています

  • 舌、唇、口蓋がヒリヒリ・焼けるように痛む
  • 検査では「異常なし」と言われた
  • 口の乾きや味の変化も気になる
  • トリンテリックスだけでは変化が乏しい
  • リリカの追加を勧められ、迷っている

今回取り上げた研究の要約

項目 内容
対象疾患 抗うつ薬を12週間使っても十分な反応がなかったバーニングマウス症候群
対象人数 203人
研究デザイン 52週間の無作為化・非盲検比較試験
治療 ボルチオキセチン20mg+プレガバリン75mg、必要時150mg。比較群は別タイプの抗うつ薬+同量のプレガバリン
主な結果 52週反応率61.8%対58.2%で有意差なし。12週時点は44.8%対22.4%で、ボルチオキセチン群の反応が早かった
限界 非盲検。プレガバリンなしの群がない。複数の抗うつ薬を一群にまとめている

舌や口のヒリヒリが続く状態とは

バーニングマウス症候群は、口の粘膜に目立つ傷や検査異常がないのに、舌や口の中の灼ける感じ、ヒリヒリ、ピリピリが続く慢性の口腔顔面痛です。研究では、1日2時間を超える症状が3カ月以上続くことが目安とされ、口の乾き、味の変化、のどの詰まり感などを伴う人もいました。

ここで大切なのは、見た目に異常がないことと、痛みが存在しないことは同じではないという点です。慢性痛の分類では、バーニングマウス症候群・舌痛症は慢性口腔顔面痛として扱われ、一次性慢性痛や神経障害性疼痛とも関連づけて整理されています。つまり「心の問題だけ」と決めつける病気ではなく、痛みを感じて調整する仕組み、睡眠、不安、生活への影響などを一緒に評価する必要があります。

よくある誤解

異常なし=何も起きていない
検査は別の原因を除外するために重要です。原因が見つからなくても、慢性の痛みとして治療対象になることがあります。

抗うつ薬=痛みが気のせい
抗うつ薬は、痛みの感じ方を調整する目的でも研究されています。処方されたことが「精神的な問題だけ」という意味ではありません。

一度始まったら一生治らない
研究では症状が軽くなった人がいる一方、反応しない人もいました。経過には個人差があり、治癒を約束することも、最初から諦めることも適切ではありません。

なぜトリンテリックスにリリカを足すのか

トリンテリックスの一般名はボルチオキセチン、リリカはプレガバリンです。異なる働きを期待して組み合わせます。

2021年の先行研究では、未治療の150人を5種類の抗うつ薬に分けました。すべての群で長期的な痛み、不安、抑うつの指標が低下し、ボルチオキセチン群は変化が早く、副作用が少ない傾向でした。 ただし、単施設の非盲検試験で、偽薬群がなかったため、結果は慎重に読む必要があります。

この結果を背景に、2025年の研究では、抗うつ薬を12週間使っても研究基準上の反応がなかった203人にプレガバリンを追加しました。ボルチオキセチン群136人と、別タイプの抗うつ薬群67人の両方で、開始量は75mg/日。12週で十分な反応がなければ150mg/日に増量しました。

現在の薬を続けるべきか、追加や変更を相談すべきか迷っている方は、当院の初回無料相談で、これまでの用量・期間・副作用を一緒に整理できます。

研究で分かったこと

【論文で示された内容】

52週後に研究上の「臨床反応」に達した割合は、ボルチオキセチン+プレガバリン群で61.8%、別タイプの抗うつ薬+プレガバリン群で58.2%でした。両群の差は統計学的に明確ではありませんでした。一方、追加後12週の早い時期では44.8%対22.4%で、ボルチオキセチン群の反応が早い結果でした。

ここでいう「反応」は「完治」と同じではありません。研究では、痛みの点数が1~2まで下がり、不安・抑うつの点数も大きく下がるなど、複数の条件を満たした状態を指します。

有害事象を申告した人は、ボルチオキセチン併用群8.8%、比較群20.8%でした。吐き気、腹痛、便秘、めまい、眠気、体重増加などが記録されています。 ただし比較群ではプレガバリンを150mgまで増やした人が多く、副作用差の一部に用量差が影響した可能性があります。

【この研究で分からないこと】

第一に、全員がプレガバリンを追加しており、「追加しなかった群」がありません。改善が追加薬によるものか、抗うつ薬の継続や診療の影響かを切り分けられません。

第二に、患者も医療者も薬を知る非盲検試験で、期待の影響を除けません。著者らも、非盲検であることと、異なる抗うつ薬を一群にまとめたことを限界に挙げています。

第三に、誰に効きやすいか、52週を超えて効果が続くか、再発を防げるかは確定していません。したがって、この併用は「有効性が確立した万能治療」ではなく、単剤で不十分なときに、利益と副作用を比べながら検討できる候補と読むのが妥当です。

症状と睡眠・不安・生活の関係

痛みが続くと、眠りが浅くなり、食事や会話を避け、不安が強まることがあります。一方、不眠や不安が痛みの感じ方に影響することもあります。ただし、痛みが不安を起こしたのか、不安が痛みを強めたのかについて、ガイドラインは一方向の因果関係を決められないとしています。

そのため治療では、痛みの点数だけでなく、「夜に何回起きるか」「食べられる物が増えたか」「会話や外出が戻ったか」も見ます。慢性疼痛ガイドラインも、副作用を少なくしながら生活の質と日常動作を高め、達成可能な目標を患者と決めることを重視しています。

痛み以外の困りごとを、どこまで医師に伝えればよいか迷う方も、初回無料相談で「症状・睡眠・食事・生活」の順に整理すると、次の受診で説明しやすくなります。

リリカ追加で注意したいこと

慢性疼痛ガイドラインでは、プレガバリンは神経障害性疼痛では重要な薬ですが、頭痛・口腔顔面痛については質の高い試験が少なく、推奨度は低めです。また、眠気やふらつきに注意し、年齢などに合わせて低用量から始めて徐々に調整するよう記載されています。

別の痛みを対象とした長期試験では、眠気、めまい、体重増加、むくみが報告されています。対象と用量が異なるため同じ頻度とは限りませんが、確認すべき症状です。

薬は自己判断で増減・中止せず、現在の薬、持病、過去の副作用を処方医に伝えてください。初回無料相談では、併用を勧める前に、まず薬歴の整理と対面診察の必要性を確認します。

受診の目安

まず相談しやすいのは、口腔内科、歯科口腔外科、口腔顔面痛を扱う医療機関です。必要に応じて、痛みの専門診療や精神科・心療内科と連携します。

口の中に新しい傷、腫れ、出血など目で分かる変化がある、感染や外傷が疑われる、症状が急に変わった場合は、オンライン相談だけで済ませず対面診察を優先してください。慢性疼痛の診断では、悪性腫瘍、感染、外傷などの見逃してはいけない病態を除外することが重要です。

オンライン診療は、すでに歯科や医科で検査を受け、症状が慢性的で大きな変化がなく、検査結果や服薬歴を共有できる場合の相談に向きます。ただし、粘膜を直接確認する必要があれば対面受診に切り替えます。

当院での考え方

以下は論文の結論ではなく、当院の相談時の考え方です。当院では、トリンテリックス+リリカという組み合わせを先に決めるのではなく、次の順で考えます。

  1. 別の病気や薬の影響を見落としていないか
  2. 痛む場所、時間帯、食事との関係はどうか
  3. 口の乾き、味の変化、睡眠、不安はあるか
  4. これまでの薬を十分な期間・用量で使ったか
  5. 改善目標を「痛みゼロ」だけにしていないか

「異常なしで終わった」「薬の目的が分からない」「精神的な問題だけと言われてつらい」という悩みも整理します。併用を検討するときは、期待できる点だけでなく、眠気、ふらつき、体重やむくみ、吐き気なども確認し、続けるか見直すかの基準を先に共有します。

当院の初回無料相談は、診断名や処方をその場で確約するものではなく、必要な検査、対面受診、オンライン診療、主治医への相談事項を整理する入口です。

FAQ

トリンテリックスとリリカを併用すれば治りますか?

治ると断定はできません。単剤で反応しなかった人の候補ですが、併用自体の効果を確かめる比較はまだ不足しています。

効果はどのくらいで分かりますか?

研究では12週時点で早期反応を評価しました。実際の時期は人により異なり、効果と副作用を定期的に見直します。

ストレスと関係がありますか?

関係することはありますが、「ストレスが原因」とは断定できません。痛み、不眠、不安、生活の負担は互いに影響し得ます。

異常なしと言われました。受診してよいですか?

はい。見た目や一般検査で異常がなくても、慢性口腔顔面痛として評価できる場合があります。まず他の原因を除外したか確認します。

精神科に行くべきですか?

必ずしも精神科だけではありません。まず口の診察を行い、睡眠や不安への支援が必要なら連携を検討します。

まとめ

  • 併用は、抗うつ薬単剤で不十分な場合の候補です
  • 52週後の反応率は約6割でした
  • 反応の速さと有害事象の報告率に差が見られました
  • プレガバリン追加そのものの効果は未確定です
  • 診断、薬歴、副作用、生活目標を一緒に確認します

バーニングマウスシンドロームでお悩みの方へ

見た目に異常がない痛みは、周囲に理解されにくく、「どこへ相談しても同じでは」と感じやすいものです。けれども、痛みの場所と経過、口の乾きや味の変化、睡眠、服薬歴を順番に整理すると、次に確認すべきことが見えやすくなります。

当院の初回無料相談では、併用薬を急いで決めず、今の診断と治療を整理します。相談先に迷う方の入口です。

参考文献

  1. Adamo D, Canfora F, Pecoraro G, et al. Vortioxetine versus SSRI/SNRI with Pregabalin Augmentation in Treatment-Resistant Burning Mouth Syndrome: A Prospective Clinical Trial. Current Neuropharmacology. 2025;23:800-819. DOI: 10.2174/1570159X22999240729103717.
  2. Adamo D, Pecoraro G, Coppola N, Calabria E, Aria M, Mignogna MD. Vortioxetine versus other antidepressants in the treatment of burning mouth syndrome: An open-label randomized trial. Oral Diseases. 2021;27:1022-1041. DOI: 10.1111/odi.13602.
  3. Treede RD, Rief W, Barke A, et al. A classification of chronic pain for ICD-11. Pain. 2015;156:1003-1007. DOI: 10.1097/j.pain.0000000000000160.
  4. 慢性疼痛治療ガイドライン作成ワーキンググループ編.『慢性疼痛治療ガイドライン』真興交易医書出版部,2018年.

※本記事は、上記4文献のみを基にした一般向け情報です。個別の薬の開始・変更・中止は、診察を受けたうえで主治医と相談してください。

小林 隆洋

小林 隆洋

長崎大学歯学部卒業。歯科医師。 舌痛症・口腔乾燥症を専門とするオンライン歯科診療に従事しています。 慢性疼痛、口腔心身症、睡眠医学を中心に国内外の医学論文を継続的にレビューし、エビデンスに基づいた医療情報をわかりやすく発信しています。

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