「歯医者では異常なしと言われた。」
「何年も舌がヒリヒリしている。」
「舌痛症は一生治らないのでしょうか?」
このような不安を抱えて検索されている方は少なくありません。
結論からお伝えすると、舌痛症(バーニングマウス症候群)は『一生治らない病気』と決まっているわけではありません。
実際に、クロナゼパムを用いた治療では症状が改善した患者さんや、痛みが完全になくなった患者さんが複数の研究で報告されています。一方で、すべての患者さんに同じ効果が得られるわけではなく、症状が残る方もいます。
この記事では、クロナゼパム含嗽に関する研究や慢性疼痛ガイドラインをもとに、
- 舌痛症は本当に治るのか
- どれくらい改善する人がいるのか
- 治療を考える上で知っておきたいポイント
を患者さん向けに分かりやすく解説します。
FAQ
Q. 舌痛症は治りますか?
改善する方も少なくありません。症状が完全になくなった患者さんを報告した研究もありますが、全員に同じ結果が得られるわけではありません。
Q. 一生治らない病気なのでしょうか?
そのようには言えません。「一生治らない」と断定できる根拠はありません。
Q. クロナゼパム含嗽とは何ですか?
クロナゼパムという薬を口の中で溶かし、舌や口の粘膜に作用させる治療法です。海外では複数の研究が報告されています。
Q. 効かなかった人もいますか?
はい。改善しなかった患者さんも報告されています。そのため、すべての方に効果がある治療ではありません。
Q. 保険診療で受けられますか?
日本ではクロナゼパム含嗽は保険適応の治療ではありません。
今回取り上げた研究
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象疾患 | バーニングマウス症候群(舌痛症) |
| 研究内容 | クロナゼパム治療に関する研究のレビュー |
| 主な評価項目 | 痛みの改善、完全改善、長期経過 |
| 主な結果 | 多くの研究で痛みの改善が報告された |
| 限界 | 研究ごとに治療方法や評価方法が異なる |
この記事の要点
- 舌痛症は「一生治らない」とは言えない
- クロナゼパムで改善した研究が複数ある
- 完全に症状がなくなった患者さんも報告されている
- すべての患者さんに効果があるわけではない
- 治療は一人ひとりに合わせて考えることが重要
この記事はこんな方に向いています
- 舌がヒリヒリする
- 舌痛症と診断された
- 異常なしと言われた
- 治る可能性を知りたい
- クロナゼパム含嗽について調べている
「舌痛症は治らない」と言われて不安になっていませんか?
インターネットで舌痛症について調べると、
「治らない」
「原因不明」
「付き合っていくしかない」
といった情報を目にすることがあります。
そのため、
「この痛みは一生続くのではないか」
と不安になる患者さんは少なくありません。
しかし、現在の研究では、
舌痛症は必ず治らない病気であるとは考えられていません。
一方で、
必ず治る病気であるとも言えません。
つまり、
患者さんによって経過はさまざまであり、
改善する方もいれば、治療を工夫しながら症状と付き合っていく方もいます。
このように考えることが、現在の医学的な理解に最も近いと言えるでしょう。
「治る」と「改善する」は少し意味が違います
患者さんが最も知りたいのは、
「結局、自分は治るの?」
ということだと思います。
ここで知っておいていただきたいのが、
医学では
「治る(完治)」
と
「改善する」
は区別して考えることが多いという点です。
例えば、
痛みが10あった方が2まで軽くなり、
日常生活をほぼ問題なく送れるようになれば、
患者さんにとっては大きな改善です。
一方、
痛みが完全に0になることを「治る」と考える研究もあります。
この違いがあるため、
論文を読むときには、
「改善率」と「完全に症状がなくなった割合」は分けて考える必要があります。
実際、クロナゼパムに関する研究では、
完全に症状がなくなった患者さんだけでなく、
痛みが大きく軽減した患者さんも多く報告されています。
研究ではどれくらいの方が改善したのでしょうか?
「改善する人がいることは分かったけれど、実際にはどれくらいの人に効果があったのでしょうか?」
患者さんであれば、ここが一番気になるポイントだと思います。
クロナゼパム含嗽については、現在までに複数の臨床研究が行われており、それらをまとめたレビュー論文も発表されています。
その結果を見ると、
多くの研究で痛みの改善が認められていました。
クロナゼパム含嗽で改善した患者さんは少なくありません
レビュー論文では、1998年から2017年までに報告されたクロナゼパム治療の研究がまとめられています。
研究によって投与方法や評価方法は異なりますが、
共通しているのは、
「クロナゼパムを使用した患者さんの多くで痛みが軽くなった」
という点です。
特に、
- 痛みの強さ(VAS)
- 患者さん自身の改善実感
では改善を認める研究が繰り返し報告されています。
完全に痛みがなくなった方も報告されています
さらに興味深いのは、
改善だけではなく、
症状が完全になくなった患者さんも報告されている
ことです。
もちろん、
すべての患者さんが完治したわけではありません。
しかし、
「舌痛症は絶対に治らない病気」
という考え方を支持する結果ではありませんでした。
研究結果をどう受け止めればよいのでしょうか?
ここで注意したい点があります。
論文では、
改善率は研究によって少しずつ異なります。
その理由は、
- 患者さんの重症度
- 症状が続いていた期間
- クロナゼパムの量
- 飲み込む方法なのか、吐き出す方法なのか
- 治療期間
が統一されていないためです。
つまり、
「改善率は○%です」と一つの数字で言い切ることはできません。
これが現在の医学的な結論です。
複数の研究をまとめても改善傾向は一致していました
レビュー論文では、
複数の研究をまとめて解析した結果も紹介されています。
その解析では、
クロナゼパムを使用した患者さんは、使用しなかった患者さんよりも痛みが改善する傾向が示されました。
つまり、
一つの研究だけ偶然良い結果が出たのではなく、
複数の研究でも同じ方向の結果が得られている
という点が重要です。
ただし、この研究で分からないこともあります
ここは患者さんにぜひ知っていただきたいポイントです。
今回紹介したレビューから分かるのは、
「クロナゼパムで改善する患者さんがいる」
ということです。
一方で、
次のことはまだ十分には分かっていません。
- 何年後まで改善が続くのか
- どのような患者さんが最も効きやすいのか
- いつまで治療を続けるべきか
- 他の薬との組み合わせで改善率が上がるのか
これらは今後の研究課題です。
そのため、
「クロナゼパムなら誰でも治る」
とも、
「クロナゼパムだけで十分」
とも言うことはできません。
現在の研究から言えるのは、
舌痛症の治療選択肢として、有力な治療法の一つである
ということです。
薬だけで治療が終わらないこともあります
ここまで読むと、
「クロナゼパム含嗽をすれば治るのでは?」
と思われる方もいるかもしれません。
もちろん、クロナゼパム含嗽は舌痛症に対する有力な治療選択肢の一つです。
しかし実際の診療では、
薬だけでは十分に改善しない患者さん
も少なくありません。
その理由は、舌痛症が単なる「舌の病気」ではなく、慢性的な痛みとして考えられるようになってきたためです。
慢性的な痛みでは「痛み以外」も重要になります
慢性疼痛治療ガイドラインでは、
長く続く痛みでは、
- 睡眠
- 不安
- 抑うつ
- 日常生活への影響
- 活動量の低下
などが互いに影響し合うことがあると説明されています。
例えば、
痛みがあるため眠れない
↓
疲れが取れない
↓
痛みに意識が向きやすくなる
↓
さらに眠れなくなる
という悪循環に入ってしまう方もいます。
もちろん、すべての患者さんがこのような経過をたどるわけではありません。
しかし、
痛みだけを見ていても改善しにくいケースがある
ことは、現在の慢性疼痛診療ではよく知られています。
「気のせい」という意味ではありません
ここで誤解していただきたくないことがあります。
睡眠や不安が関係すると聞くと、
「精神的な問題なんですね」
と思われる患者さんが少なくありません。
しかし、それは現在の考え方とは少し異なります。
舌痛症はICD-11(国際疾病分類)では慢性口腔顔面痛に分類されています。
つまり、
実際に存在する慢性的な痛み
として考えられている病気です。
そのうえで、
睡眠や不安などが症状の感じ方や日常生活に影響することがあるため、
それらも含めて評価することが勧められています。
当院でも睡眠や生活の様子を大切にしています
実際の診療でも、
舌だけを診ていると改善しない患者さんを経験します。
例えば、
- 夜になると痛みが強くなる
- 不眠が続いている
- 痛みが気になって外出が減った
- 「治らないのでは」と毎日不安になる
このようなお話は珍しくありません。
そのため当院では、
舌の症状だけではなく、
- 睡眠の状態
- 不安の程度
- 痛みによって困っていること
- これまで受けてきた治療
なども丁寧に伺いながら治療方針を考えています。
患者さんによっては、
クロナゼパム含嗽だけで改善する方もいらっしゃいます。
一方で、
睡眠への対応や他の薬物療法を組み合わせることで改善がみられる方もいます。
つまり、
「どの治療が合うか」は患者さんごとに異なる
というのが、私たちの臨床での実感です。
受診を考えるタイミング
次のような方は、一度相談を検討してもよいかもしれません。
- 数か月以上ヒリヒリが続いている
- 歯科や耳鼻科で異常なしと言われた
- 食事や会話がつらくなってきた
- 不眠や不安も重なっている
- いろいろな治療を試したが改善しない
なお、
舌にしこりや潰瘍がある場合や、出血が続く場合などは、まず一般歯科・口腔外科や耳鼻咽喉科で器質的な病気がないか確認することが大切です。
当院での考え方
当院では、舌痛症を**「舌だけの病気」ではなく、「慢性的な痛み」として総合的に考えること**を大切にしています。
実際には、
- 舌のヒリヒリだけが気になる方
- 不眠が強い方
- 不安が症状を悪化させている方
- 長期間痛みが続き、生活の質が低下している方
など、患者さんによって症状の現れ方はさまざまです。
そのため、
「全員に同じ薬を処方する」
という診療ではなく、
現在の症状や生活への影響を確認したうえで、一人ひとりに合った治療方針をご提案しています。
クロナゼパム含嗽は有力な選択肢の一つですが、それだけですべての患者さんが改善するわけではありません。
必要に応じて、
- 睡眠への対応
- 慢性疼痛に対する薬物療法
- 不安や抑うつへの対応
などを組み合わせながら治療を進めることが大切だと考えています。
オンライン診療が向いている方
当院ではオンライン診療を行っています。
ただし、
オンライン診療では口の中を直接診察することができません。
そのため、
初回診療の前には、
一般歯科または口腔外科で口腔内に異常がないことを確認していただくこと
をお願いしています。
例えば、
- 舌がん
- カンジダ症
- 口腔粘膜疾患
- 歯や義歯による刺激
などが否定されていることが重要です。
また、
可能であれば、
- 血液検査
- 鉄
- ビタミンB12
- 葉酸
- 亜鉛
- 血糖値
などの採血結果があると、より安全に診療を進めることができます。
よくある誤解
「舌痛症は一生治らない」
そのように断定することはできません。
改善した患者さんや、症状が消失した患者さんも報告されています。
「クロナゼパムを使えば必ず治る」
これも現在の医学では言えません。
改善しなかった患者さんも報告されており、効果には個人差があります。
「精神的な問題だけの病気」
舌痛症はICD-11では慢性口腔顔面痛に分類されています。
睡眠や不安は症状に影響することがありますが、それだけで説明できる病気ではありません。
まとめ
- 舌痛症は「一生治らない」とは言えません。
- クロナゼパム含嗽では改善を認めた研究が複数報告されています。
- 一方で、すべての患者さんに同じ効果が得られるわけではありません。
- 睡眠や不安なども含めて治療を考えることが大切です。
- 一人ひとりに合わせた治療方針を立てることが改善への第一歩になります。
バーニングマウス症候群(舌痛症)でお悩みの方へ
「もう治らないのではないか」
「何件病院を回っても異常なしと言われた」
このようなお気持ちで当院へご相談いただく患者さんは少なくありません。
現在の研究では、舌痛症は改善が期待できる患者さんがいることが報告されています。
一方で、治療方法や経過には個人差があり、患者さんごとに最適な治療は異なります。
当院では、医師が慢性疼痛・睡眠・不安なども含めて総合的に評価し、一人ひとりに合わせた治療方針をご提案しています。
初回は無料相談を行っています。
「自分はオンライン診療の対象になるのだろうか」
「今の治療を続けるべきか相談したい」
そのような段階でも構いませんので、お気軽にご相談ください。
参考文献
- Liu YF, et al. Burning Mouth Syndrome: A Systematic Review of Treatments. Oral Diseases. 2018. DOI: 10.1111/odi.12660.
- Treede RD, Rief W, Barke A, et al. A Classification of Chronic Pain for ICD-11. Pain. 2015;156(6):1003-1007. DOI:10.1097/j.pain.0000000000000160.
- 慢性疼痛治療ガイドライン作成ワーキンググループ 編. 慢性疼痛治療ガイドライン. 真興交易医書出版部, 2018.




コメント