「歯医者では異常なしと言われた。」
「耳鼻科でも原因が分からなかった。」
「でも舌のヒリヒリが毎日続いている。」
このようなお悩みを抱えている方は少なくありません。
舌がヒリヒリする症状(舌痛症・バーニングマウス症候群)は、見た目に異常がないことが多く、「何科を受診すればよいのか分からない」と迷われる方が多い病気です。
近年では、バーニングマウス症候群(Burning Mouth Syndrome:BMS)はICD-11(国際疾病分類)で慢性口腔顔面痛の一つとして位置づけられています。
また、日本の慢性疼痛治療ガイドラインでも、慢性疼痛では痛みだけではなく、不眠・不安・抑うつ・生活への影響まで含めて評価することが重要とされています。
この記事では、
- 舌がヒリヒリするときは何科を受診すればよいのか
- 歯科・耳鼻科・精神科・ペインクリニックの違い
- 当院で考える理想的な診療の流れ
について、論文とガイドラインをもとに分かりやすく解説します。
FAQ
Q. 舌がヒリヒリするとき最初は何科を受診すればいいですか?
まずは一般歯科または口腔外科で、舌や口の中に病気がないか確認することをおすすめします。
Q. 歯科で異常なしと言われました。次はどこへ行けばいいですか?
慢性的な舌の痛みであれば、慢性疼痛に対応できる医療機関への相談を検討します。
Q. 精神科へ行くべき病気なのでしょうか?
精神科だけの病気ではありません。不安や不眠が関係している場合もありますが、慢性疼痛として評価することも重要です。
Q. 耳鼻科では診てもらえますか?
舌やのどの病気を調べることは得意ですが、慢性的な痛み全体を治療する体制は医療機関によって異なります。
Q. オンライン診療は受けられますか?
口の中に病気がないことを確認した後であれば、オンライン診療が適している場合があります。
今回取り上げた研究
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象疾患 | バーニングマウス症候群(BMS) |
| 対象人数 | 200名 |
| 研究デザイン | 横断研究 |
| 主な結果 | 不安・抑うつ・睡眠障害が痛みや重症度と関連した |
| 限界 | 因果関係は証明できない |
この記事の要点
- 舌のヒリヒリは最初に歯科・口腔外科で確認する
- 異常がなければ慢性疼痛として考える場合がある
- 不安や睡眠も症状に影響することがある
- 診療科にはそれぞれ得意分野がある
- 専門外来ではそれらを統合して考える
この記事はこんな方に向いています
- 舌がヒリヒリする
- 舌がピリピリする
- 歯医者で異常なしと言われた
- 何科へ行けばいいか分からない
- 不眠や不安もある
- オンライン診療を検討している
舌がヒリヒリする症状とは?
舌がヒリヒリする、ピリピリする、熱いものを食べてやけどをしたように感じる。
このような症状が何か月も続いているにもかかわらず、口の中を見ても異常が見つからないことがあります。
このような状態は舌痛症(バーニングマウス症候群)と呼ばれることがあります。
特徴としては、
- 舌がヒリヒリする
- ピリピリする
- しびれるように感じる
- 味覚が変わる
- 口が乾く感じがする
などがあります。
見た目には異常がなくても、症状そのものは決して珍しいものではありません。近年では、この病気は慢性口腔顔面痛という慢性的な痛みの一つとして分類されています。
なぜ「異常なし」と言われるのでしょうか?
ここで誤解してほしくないことがあります。
「異常なし」と「症状がない」は同じ意味ではありません。
一般歯科や口腔外科では、
- 舌がん
- カンジダ症
- 外傷
- 入れ歯や歯による刺激
- その他の口腔粘膜疾患
などを調べます。
つまり、
「命に関わる病気や治療が必要な病気が見つからなかった」
という意味で「異常なし」と説明されることが多いのです。
一方で、慢性的な舌の痛みは、器質的な異常だけでは説明できないことがあります。
そのため、歯科で異常がないことを確認した後に、慢性疼痛として治療を考えるケースがあります。
何科を受診すればよいのでしょうか?
舌がヒリヒリする症状では、「どの診療科にも間違いではないが、どこだけでも十分とは限らない」というのが実際のところです。
それぞれの診療科には得意分野があります。
まずは一般歯科・口腔外科で口の中に病気がないことを確認し、その後は症状に応じて医科での治療を組み合わせることが大切です。
一般歯科・口腔外科
得意なこと
一般歯科・口腔外科の最も重要な役割は、
「本当に舌痛症なのか」を診断することです。
具体的には、
- 舌がん
- 口腔カンジダ症
- 入れ歯や歯による刺激
- 外傷
- 口腔粘膜疾患
- その他の歯科疾患
などを確認します。
慢性的な舌の痛みを診断する上では、
「まず治療すべき病気がないことを確認する」
というステップが欠かせません。
慢性疼痛ガイドラインでも、まず病態を正確に把握し、危険な病気(悪性腫瘍や感染症など)を見逃さないことが診断の第一歩であるとされています。
苦手なこと
一方で、口の中に異常がないことが確認されたあと、
舌痛症を慢性疼痛として長期的に薬物治療することは、一般歯科・口腔外科では難しい場合があります。
近年では舌痛症(バーニングマウス症候群)は慢性口腔顔面痛として位置づけられています。
そのため、
「異常なし」
という診断は、
「これ以上治療できない」
という意味ではなく、
「口の中には治療すべき病気は見つからなかった」
という意味であることが少なくありません。
耳鼻咽喉科
得意なこと
耳鼻咽喉科では、
- 舌
- のど
- 唾液腺
- 首
などの病気を詳しく診察できます。
そのため、
- 舌の炎症
- 腫瘍
- のどの病気
などが疑われる場合には非常に重要な診療科です。
また、施設によっては慢性疼痛に対する薬物療法を行っていることもあります。
苦手なこと
一方で、
慢性疼痛では薬だけでは十分ではないことがあります。
慢性疼痛ガイドラインでは、
- 薬物療法
- 認知行動療法
- 運動療法
- 患者教育
- 多職種による治療
を組み合わせる集学的治療が重要とされています。
そのため、
耳鼻咽喉科では施設によって心理的アプローチや慢性疼痛全体を包括的に診療する体制が十分でない場合があります。
心療内科・精神科
得意なこと
舌痛症では、
- 不安
- 抑うつ
- 不眠
を同時に抱えている患者さんが少なくありません。
2025年に200名の患者さんを対象に行われた研究でも、
- 不安は痛みの強さと関連し、
- 抑うつは睡眠の質の低下と関連していました。
そのため、
心療内科・精神科では、
- 睡眠障害
- 不安
- 抑うつ
への治療を受けられることが大きな強みです。
苦手なこと
一方で、
口の中を詳しく診察することは専門外です。
また、
舌の病気そのものを除外診断することは難しいため、
まず歯科・口腔外科で器質的な病気がないことを確認しておくことが望ましいでしょう。
ペインクリニック
得意なこと
ペインクリニックは、
慢性的な痛みを専門に診療する診療科です。
慢性疼痛ガイドラインに基づいた薬物療法や疼痛管理を受けられる可能性があります。
そのため、
慢性的な舌の痛みに対して相談先となることがあります。
苦手なこと
一方で、
ペインクリニックでは口の中を専門的に診察することは一般的ではありません。
また、
舌痛症でみられる
- 不眠
- 不安
- 抑うつ
などについては、
医療機関によって対応できる範囲が異なります。
各診療科の違い
| 診療科 | 得意なこと | 苦手なこと |
|---|---|---|
| 一般歯科・口腔外科 | 口の中の病気を診断・除外する | 慢性疼痛としての長期薬物療法 |
| 耳鼻咽喉科 | 舌・のど・唾液腺の病気を診る | 慢性疼痛全体への包括的対応 |
| 心療内科・精神科 | 不安・抑うつ・不眠への治療 | 口腔内の診察・除外診断 |
| ペインクリニック | 慢性疼痛の治療 | 口腔診察や口腔疾患の評価 |
当院での考え方
私たちが日々診療していて感じるのは、
「舌だけを診ても改善しない患者さんが少なくない」
ということです。
実際には、
- 舌のヒリヒリ
- 不眠
- 不安
- 抑うつ
- 生活の質の低下
などが重なっている方を多く経験します。
慢性疼痛ガイドラインでも、慢性疼痛では痛みだけを診るのではなく、睡眠や不安、日常生活への影響まで含めて評価することが重要とされています。
また近年の研究でも、
- 不安は痛みを強く感じやすくする
- 抑うつは睡眠の質を低下させる
- 睡眠時間が短いほど症状が重くなる
ことが報告されています。
つまり、
舌だけを治療するのではなく、患者さん全体を診ることが重要
なのです。
当院の診療方針
当院では、
- 慢性疼痛としての評価
- 内科的薬物療法
- 不眠への対応
- 不安・抑うつへの対応
を一体として考えています。
これは、
「歯科」
でも
「精神科」
でもなく、
慢性疼痛という視点から患者さんを総合的に診る
という考え方です。
もちろん、
患者さんによって必要な治療は異なります。
睡眠の改善を優先した方がよい方もいれば、
慢性疼痛の薬物療法を優先した方がよい方もいます。
そのため、
初診では現在の症状やこれまでの経過を詳しく伺い、一人ひとりに合わせて治療方針をご提案しています。
オンライン診療が向いている方
当院はオンライン診療を中心に診療を行っています。
ただし、
オンライン診療では口の中を直接診察することができません。
そのため、
初回診療の前には、
一般歯科または口腔外科で口腔内に異常がないことを確認していただくこと
をお願いしています。
例えば、
- 舌がん
- カンジダ症
- 口腔粘膜疾患
- 歯による刺激
- 義歯による刺激
などが否定されていることが重要です。
また、
可能であれば内科で行った採血結果
- 貧血
- 鉄欠乏
- ビタミンB12欠乏
- 葉酸欠乏
- 亜鉛欠乏
- 糖尿病
などが確認できると、より安全に診療を進めることができます。
すぐに受診した方がよい症状
次のような症状がある場合は、
舌痛症と自己判断せず、早めに歯科・口腔外科または耳鼻咽喉科を受診してください。
- 舌にしこりがある
- 出血が続く
- 潰瘍が治らない
- 急激に悪化した
- 発熱を伴う
- 飲み込みにくい
- 首にしこりがある
このような症状では、他の病気が隠れている可能性があります。
よくある誤解
「異常なし=何も問題ない」ではありません
見た目に異常がなくても、痛みを感じていることは珍しくありません。
「精神的な問題だけの病気」ではありません
不安や睡眠は症状に影響しますが、それだけで説明できる病気ではありません。
「一生治らない病気」と決まったわけではありません
症状の改善を目指して、薬物療法や睡眠への対応などを組み合わせることで生活しやすくなる方も少なくありません。
まとめ
- 舌がヒリヒリしたら、まず歯科・口腔外科で診察を受けましょう。
- 異常がなければ、慢性疼痛としての治療が必要になる場合があります。
- 不眠や不安も症状に影響することがあります。
- 診療科にはそれぞれ得意分野があります。
- 症状に応じて適切な診療科を組み合わせることが大切です。
バーニングマウス症候群でお悩みの方へ
「どこへ行っても異常なしと言われた。」
「何科を受診すればいいのか分からない。」
このようなお悩みを抱えている方は少なくありません。
当院では、医師が慢性疼痛・睡眠・不安なども含めて総合的に評価し、一人ひとりに合わせた治療方針をご提案しています。
初回は無料相談を行っています。
「自分はオンライン診療の対象になるのだろうか」
「まず何科を受診すればよいのだろうか」
そのようなご相談だけでも構いませんので、お気軽にお問い合わせください。
参考文献
- Treede RD, Rief W, Barke A, et al. A classification of chronic pain for ICD-11. Pain. 2015;156(6):1003-1007. DOI:10.1097/j.pain.0000000000000160.
- Argiuolo A, Canfora F, Muzii B, et al. Inside the Fire. Exploring the Impact of Anxiety, Depression, and Sleep Disturbances on Pain Perception in Burning Mouth Syndrome: A Cross-Sectional Study of 200 Patients. Journal of Oral Pathology & Medicine. 2025;54:807-822. DOI:10.1111/jop.70026.
- 慢性疼痛治療ガイドライン作成ワーキンググループ 編. 慢性疼痛治療ガイドライン. 真興交易医書出版部; 2018.




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