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ICD-11

ICD-11で、新しく整理された「舌痛症」の考え方

ICD-11って何ですか?

世界保健機関(WHO)が作成した病気の分類で、

ICD−11に明記されている病名・病気の分類は、世界共通で かつ 正式な医学用語 です。

病気の診断や研究、統計などで使われており、日本でもICD-11が導入されています。

このICD-11が、舌痛症の考え方を、大きく整理したのです。

以前は、舌痛症の位置づけがはっきりしていませんでした

以前のICD-10まででは、慢性疼痛の概念 が少しあやふやでした。

そのため舌痛症は、

  • 歯科の病気なのか
  • 神経の病気なのか
  • 心理的な問題なのか

ということが、整理しきれてなかったのです。

聞いたことはあるけど、そもそも慢性疼痛って?

実は、「慢性疼痛」という言葉自体は以前から存在していました。

注目すべきは、ICD-11が「慢性疼痛」という概念に新たな意味付けをして、体系的に整理した、ということなのです。

ICD-11では、舌痛症は「慢性口腔顔面痛」に分類されました

舌痛症は、ICD-11で、

慢性口腔顔面痛(Chronic Primary Orofacial Pain)

の一つとして分類されています。

さらに、

「口の中だけを診る病気」ではなく、慢性疼痛という視点から考える病気でもある

という現在の医学の考え方を、ハッキリと明示しています。

「慢性一次痛」という考え方

ICD-11では、慢性一次痛(Chronic Primary Pain)という新しい概念も作られました。

頭に入ってきにくい言葉かもしれませんね。簡単に噛み砕いて解説します。

一次痛と二次痛 について、舌痛症で例えると、

二次痛:「口の中に目や画像診断で、わかるような異変(キズなど)が、あるから痛い」

一次痛:「舌そのものが、舌が痛む状態になってしまってる」だから舌がいたい!

もっと端的にいうと、舌痛症においては、

▶︎一次痛:舌が痛む状態に デフォルトで設定 されてしまうから、「痛い!」を感じてしまっている

▶︎二次痛:他の病気(キズなど)や異変があるから、「痛い!」となる

このようなイメージで良いと思います。

もちろん、痛みは気のせいではありません。

脳や神経の働きが変化することで、本当に痛みを感じている状態です。

舌痛症も、この考え方(=慢性一次痛)と多くの共通点を持つ病気と考えられています。

だから最近、舌痛症の研究が進んでいます

舌痛症は、

  • 「異常がないから原因不明」
  • 「精神的な問題だけ」

という時代から、

現在では、

  • 慢性疼痛
  • 神経科学
  • 睡眠
  • 心理的ストレス
  • 脳の痛みを調節する仕組み

などを含めて研究される病気へと変わってきました。

まとめ

ICD-11では、

  • 慢性疼痛
  • 慢性一次痛
  • 慢性口腔顔面痛

という新しい考え方が整理されました。

舌痛症は、その中で慢性口腔顔面痛の一つとして位置づけられています。

つまり、

「異常がないのに痛い不思議な病気」ではなく、世界中で慢性疼痛として研究が進められている病気なのです。

医師・小林由希 執筆

小林由希

小林由希

小林オーラルクリニック舌痛症担当医師。愛媛大学医学部医学科卒業。大阪府立天王寺高等学校理数科卒業。

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