舌痛症

舌痛症に不安や心配、気分の落ち込みを感じていませんか?歯科医師が解説

舌の痛みが続く病気、舌痛症

舌の痛みが長く続いて治らないという方は少なくありません。原因はいくつかありますが、その中の一つとして舌痛症という疾患が考えられます。舌痛症とは、見た目に異常がないにも関わらず3ヶ月以上痛みが続く病気です。具体的には以下のような基準で診断します。

舌痛症と診断される基準
・口の中に、焼けるような痛みや不快感がある
・1日2時間以上症状があり、毎日繰り返す
・3ヶ月を超えて続いている
・痛みは口の粘膜の表面に感じる
・粘膜には見た目上明らかな異常がない
・痛みの原因になる他の病気(傷・できもの・全身の病気など)が、検査で見つからない
・他の病気としてうまく説明できない

舌痛症の患者様の中には、様々な不安や心配を抱えていらっしゃる方が少なくありません。それも当然で、見た目の異常がないにも関わらず痛みがあることは大きな病気が隠れていないかと想像してしまうものですし、痛みが続くともう治らないのではないかと将来のことまで悲観してしまうものです。これは多くの方が同じであるということを裏付けた調査結果もあります。

舌の痛みと不安・抑うつ・睡眠の質の関連

2025年に公表されたイタリアの研究(出典は下部記載)では、舌痛症と不安・抑うつ・睡眠の質の関連を調査しました。

この調査ではイタリア・ナポリ大学の口腔内科を2022〜2024年に受診した舌痛症の患者様200名(女性約8割、年齢中央値64歳)のカルテを振り返って分析しました。不安と抑うつは医師が評価し、睡眠の質はアンケートで、痛みの強さは0〜10の数字で患者様に答えてもらい評価しています。病気の重さは医師による総合評価で測定しました。

結果

  • 中等度以上の不安症状は41.5%、抑うつ症状は36%の方にみられました。
  • 睡眠の質の低下は89%の方にみられ、睡眠時間の中央値は6時間でした。
  • 不安が強い方ほど、痛みを強く感じる傾向がありました。
  • 抑うつが強い方ほど、睡眠の質が低い傾向がありました。
  • 睡眠時間が短い方ほど、病気が重いと評価される傾向がありました。
  • ただし、いずれの関連もそれほど強いものではありませんでした。

結論

舌痛症では、不安・抑うつ・睡眠の問題がよくみられ、痛みや病気の重さと関連していました。

研究の限界

ある一時点を調べた研究のため、どちらが原因でどちらが結果かはわかりません。痛みが続くことで不安や不眠が生じている可能性もあります。なお単一施設のデータです。

ガイドラインに準じた舌痛症治療

上記の研究からは舌痛症の患者様の多くが、痛みの周辺の症状として、不安や抑うつ、睡眠の問題を抱えているということが分かります。そして日本の厚生労働省の研究班が作成した『慢性疼痛診療ガイドライン』(舌痛症は慢性疼痛に分類される)でも、治療は痛みそのものに対してだけでなく、周辺の症状にまで包括的に行うことを推奨しています。大まかには以下のように治療が進みます。

カウンセリング

舌痛症は気持ちの問題ではありませんが、気分に対してや睡眠に対して影響を与えます。そのため医療者側が心理的な支えとなることが重要になります。

お薬による治療

周辺の症状に対してはお薬が有効となることもあり、それによりQOL(生活の質)が改善することもあります。痛みそのものに対するお薬の治療とは別に周辺の症状にもアプローチすることで、生活がしやすくなったり睡眠の質がよくなったりして、生活がしやすくなる可能性があります。

当院オンライン診療の考え方

小林オーラルクリニックでは、全国の皆様にオンラインで十分な時間をかけて診察ができる体制を整えています。オンライン診療ではできない検査などはお近くの病院に依頼し、十分な情報をもとに専門的な舌痛症治療を行います。お薬の治療は医師が行い、また医師・歯科医師による連携体制と丁寧なカウンセリングで治療に取り組みます。

当院では初回無料のオンライン相談を実施していますので、舌痛症について何か気になることがある方から専門的な治療が受けたいという方まで、舌痛症に関わることでしたらお気軽にご相談ください。医師・歯科医師それぞれにオンラインでご相談していただけます。

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参考文献

1. Argiuolo A, Canfora F, Muzii B, et al. Inside the Fire. Exploring the Impact of Anxiety, Depression, and Sleep Disturbances on Pain Perception in Burning Mouth Syndrome: A Cross-Sectional Study of 200 Patients. J Oral Pathol Med. 2025;54:807–822. doi:10.1111/jop.70026

2. Treede RD, Rief W, Barke A, et al. A classification of chronic pain for ICD-11. Pain. 2015;156(6):1003–1007. doi:10.1097/j.pain.0000000000000160

3. 厚生労働行政推進調査事業費補助金(慢性の痛み政策研究事業)「慢性疼痛診療システムの均てん化と痛みセンター診療データベースの活用による医療向上を目指す研究」研究班 監修, 慢性疼痛診療ガイドライン作成ワーキンググループ 編. 慢性疼痛診療ガイドライン. 真興交易医書出版部; 2021. https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00664/

小林 隆洋

小林 隆洋

長崎大学歯学部卒業。歯科医師。 舌痛症・口腔乾燥症を専門とするオンライン歯科診療に従事しています。 慢性疼痛、口腔心身症、睡眠医学を中心に国内外の医学論文を継続的にレビューし、エビデンスに基づいた医療情報をわかりやすく発信しています。

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