舌痛症の患者様の悩みと治療法
舌痛症の治療は一般的な病気のように、悪いところがあるから治す、あるいは補うといった治療とは少し異なります。驚くかもしれませんが、痛みをゼロにして終わりという治療ではないのです。
病気が舌痛症であると確定するための検査をしてから治療に入るところは同じですが、他の病気と異なり、取り扱う症状が痛みだけにとどまりません。
具体的には、患者様はただ痛いのでなく、痛みに伴って、例えば眠れない、何かをするのが億劫になるといった、生活上の困りごとも抱えています。
このように痛みから生じた困りごとも含めて改善の目標とするのが、現在の痛みの医療の考え方になっています。痛みを減らすことと同様に、普段通りの日常を過ごせるようにすることも、痛みの治療になるのです。
痛みだけでなく日常を取り戻す
実際のところどういったことをするか解説します。
まず痛みそのものについては、現在複数の経路で痛みを鎮められる可能性があるお薬がありますので、効果をみながら患者様ごとにお薬を使っていきます。この中に心療内科等で用いられる抗うつ薬が含まれるのは、ストレスだけが原因という訳ではなく、神経の働きを調整するために有効な作用がある抗うつ薬があるためです。その他数種類のお薬をお体に合わせて調整していき、痛みの管理を行います。
そして見落とされがちでかつ重要なのは精神面でのサポートです。痛みがあるということは大きな苦痛です。寝る前にインターネットで原因を調べ続け、寝付けなくなっている方だって少なくありません。そのような患者様が安心して診察でお話ししていき、眠れないのであれば必要に応じてお薬を使い、ゆっくりと眠れるようになることも治療の一つです。
さらに仕事や家事が億劫であれば、それも痛みによる二次被害で、治療の対象です。診察でしっかりと困りごとを話し、解決策を提示し、快適な日常生活を取り戻していただく事も治療の目標になります。
舌痛症治療の考え方
困りごとは全て治療の対象ですので相談していただきたいと、当院では医師も歯科医師も願っています。痛みだけでなく、困っていることをできる限り解消していただくことが、当院だけでなく、現代の痛みの医学の基本理念になっています。
歯科医師 小林隆洋