「舌がヒリヒリするのに検査では異常がない」
「夜になると症状が強くなる」
「最近よく眠れない」
このような悩みはありませんか?
近年の研究では、バーニングマウスシンドローム(BMS)の患者さんでは睡眠の質が低下していることが多く、不安や気分の落ち込みとも関係している可能性が示されています。
ただし、この研究だけで「眠れないから舌が痛くなる」「舌が痛いから眠れなくなる」とまでは分かっていません。
今回は、舌のヒリヒリ感と睡眠の関係について研究結果をもとに分かりやすく解説します。
この記事でわかること
- 舌の痛みがある人では睡眠の問題が多くみられます
- 不安や気分の落ち込みと睡眠には関連があります
- 痛みの強さと睡眠の関係は比較的弱い可能性があります
- 睡眠だけが原因とは言えません
- 睡眠の評価は症状理解の手がかりになる可能性があります
FAQ(よくある質問)
Q. ストレスと関係ありますか?
関係している可能性がありますが、ストレスだけが原因とは言えません。
Q. 異常なしと言われたのに痛いです
BMSでは検査で異常が見つからないことがあります。
Q. 眠れないと悪化しますか?
関連は示されていますが、因果関係は分かっていません。
Q. 精神科に行くべきですか?
不安や不眠が強い場合は相談先の一つになります。
Q. 口が乾くのも関係ありますか?
BMSでは口の乾燥感を訴える方も少なくありません。
この研究の信頼性
★★★★☆
- 対象人数:400名
- BMS患者:200名
- 健常対照群:200名
- 研究デザイン:多施設ケースコントロール研究
- イタリア10大学共同研究
- 対照群あり
- 追跡研究ではなく横断的評価
※因果関係は分かりません。
今回取り上げた研究の要約
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象疾患 | バーニングマウスシンドローム(BMS) |
| 対象人数 | 200名 |
| 研究デザイン | 多施設ケースコントロール研究 |
| 主な結果 | 約79%で睡眠障害がみられた |
| 限界 | 横断研究のため因果関係は不明 |
この記事の要点
- BMS患者では睡眠障害が多い
- 不安と睡眠は強く関連する
- 抑うつと睡眠も関連する
- 痛みの強さとの関連は弱い
- 睡眠評価は診療で重要
この記事はこんな方に向けています
- 舌がヒリヒリする
- 口の中が熱い感じがする
- 検査で異常なしと言われた
- 最近眠りが浅い
- 不安が強い
舌のヒリヒリ感とは
舌のヒリヒリ感や焼けるような感覚が続くにもかかわらず、口の中を診察しても原因が見つからないことがあります。
その代表的な状態の一つがバーニングマウスシンドローム(BMS)です。
舌痛症はBMSの代表的なタイプのひとつと考えられています。
症状としては
- ヒリヒリする
- ピリピリする
- 熱い感じがする
- しびれる感じがする
- 口が乾く
- 味がおかしい
などがあります。
「異常なし」と言われても、症状そのものが存在しないわけではありません。
よくある誤解
❌ 睡眠が悪いから舌が痛くなる
→ この研究だけでは分かりません
❌ 舌の痛みは気のせい
→ 気のせいではありません
❌ 精神的な問題だけの病気
→ それだけではありません
❌ 一生治らない病気
→ 必ずしもそうではありません
研究で分かったこと
論文で示された内容
研究ではBMS患者200名を対象に睡眠の質を調査しました。
その結果、
約79%の患者さんで睡眠の質の低下がみられました。
さらに、
- 不安が強い人ほど睡眠が悪い
- 気分の落ち込みが強い人ほど睡眠が悪い
という傾向が確認されました。
一方で、
痛みの強さと睡眠との関連は比較的弱い結果でした。
つまり、
「眠れていない人ほど痛みが強い」
という単純な関係ではなかったということです。
この研究で分からないこと
- 睡眠障害が原因かどうか
- 舌の痛みが原因かどうか
- 睡眠改善で症状が治るか
- 将来的な経過
- 病気の本当の原因
これらは今後の研究課題です。
症状と睡眠・不安・生活の関係
慢性的な痛みでは、体の状態だけでは説明できないことがあります。
睡眠不足
不安
生活上のストレス
活動量の低下
などが重なることで症状がつらく感じられることがあります。
慢性疼痛治療ガイドラインでも、
痛みだけでなく
- 睡眠
- 不安
- 抑うつ
- 日常生活
- 活動量
を含めて評価することが重要とされています。
そのため、
舌だけを見るのではなく、
「最近眠れているか」
「不安が強くなっていないか」
「生活が大きく変化していないか」
を確認することが大切です。
受診の目安
以下のような場合は相談を検討してください。
- 数か月以上症状が続く
- 検査では異常がない
- 睡眠の問題を伴う
- 不安が強い
- 日常生活に支障が出ている
反対に、
急激な腫れ
出血
体重減少
しこり
などがある場合は別の病気の確認が必要です。
オンライン診療は
- 遠方で専門医が近くにいない
- 症状整理をしたい
- セカンドオピニオンを希望する
といったケースで役立つことがあります。
当院でよくみられること
当院でよくみられるのは、
「舌が痛いこと」そのものよりも、
その症状によって生活が乱れてしまうことです。
例えば、
- 症状が気になって何度も舌を見る
- 原因を検索し続ける
- 不安で眠れなくなる
- 活動量が減る
という悪循環です。
また、
「痛みは強いのに検査では異常がない」
という状態そのものが不安を強めているケースも少なくありません。
実際の診療では、
症状だけでなく
睡眠
不安
生活背景
これまでの経過
を含めて整理していくことが重要だと感じています。
まとめ
- BMS患者の約79%で睡眠障害がみられた
- 睡眠の問題は不安や抑うつと関連していた
- 痛みの強さとの関連は比較的弱かった
- 因果関係はまだ分かっていない
- 睡眠評価は症状理解の手がかりになる可能性がある
バーニングマウスシンドロームでお悩みの方へ
舌の痛みやヒリヒリ感が続くと、
「何か重大な病気ではないか」
と不安になる方も少なくありません。
一方で、検査で異常が見つからないことで、さらに戸惑うこともあります。
症状を我慢するのではなく、
現在の状態を整理するための相談先として専門診療を活用するという考え方もあります。
当院では初回オンライン相談を行っています。
症状の整理や今後の方向性について一緒に考えることができます。
参考文献
Adamo D, et al.
The association between burning mouth syndrome and sleep disturbance: A case-control multicentre study.
Oral Diseases. 2018
DOI: 10.1111/odi.12807
慢性疼痛治療ガイドライン
慢性疼痛治療ガイドライン作成ワーキンググループ
2018

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