「異常なし」と言われたのに舌が痛い
「舌がヒリヒリする」
「ピリピリする」
「何件も歯科を受診したけれど異常なしと言われた」
そんな経験はありませんか?
実は、舌や口の中に痛みが続くにもかかわらず、見た目には異常が見つからない病気があります。
それがバーニングマウスシンドローム(Burning Mouth Syndrome:BMS)です。
一般的に「舌痛症」と呼ばれている状態の中にも、バーニングマウスシンドロームに含まれるものがあります。
この病気では、
- 舌がヒリヒリする
- 舌がピリピリする
- 口の中が焼けるように痛い
- 味がおかしい
- 口が乾く
といった症状がみられます。
さらに、多くの患者さんが
- 不安
- 落ち込み
- 不眠
- 寝つきの悪さ
なども同時に抱えています。
では、不安や不眠は舌の痛みと関係しているのでしょうか。
この記事では、2025年に発表された200人のバーニングマウスシンドローム患者を対象とした研究と慢性疼痛治療ガイドラインをもとに解説します。
まず知りたいこと(FAQ)
Q. 舌の痛みと不安は関係ありますか?
【論文で示された内容】
2025年の研究では、不安が強い患者さんほど痛みも強い傾向がみられました。
ただし、不安が痛みの原因と証明されたわけではありません。
Q. 眠れないと症状は悪化しますか?
【論文で示された内容】
睡眠時間が短い患者さんほど症状が重い傾向がみられました。
ただし、眠れないから悪化したのか、痛みで眠れなくなったのかまでは分かっていません。
Q. 精神的な問題だけで起きる病気ですか?
【一般的医学知識】
違います。
神経の変化、口の乾き、薬の影響、全身状態なども関係すると考えられています。
「気のせい」や「考えすぎ」だけで説明できる病気ではありません。
Q. 精神科に行くべきですか?
【一般的医学知識】
不安や不眠が強い場合には精神科や心療内科が役立つことがあります。
ただし、まずは口の中の症状に詳しい医療機関で相談することが大切です。
今回取り上げた研究の要約
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象疾患 | バーニングマウスシンドローム |
| 対象人数 | 200人 |
| 研究デザイン | 横断研究 |
| 主な結果1 | 不安と痛みの強さに関連 |
| 主な結果2 | 睡眠時間が短いほど重症 |
| 限界 | 原因までは分からない |
この記事の要点
- 不安が強い患者さんほど痛みも強かった
- 睡眠時間が短い患者さんほど症状が重かった
- 落ち込みは睡眠の質低下と関連していた
- 原因と結果はまだ分かっていない
- 痛みだけでなく睡眠や生活背景も重要
この記事はこんな方に向けています
- 舌がヒリヒリする
- 舌がピリピリする
- 口の中が痛い
- 不安が強い
- 落ち込みが続く
- 眠れない
- 寝つきが悪い
- 異常なしと言われた
- 痛みが長引いている
バーニングマウスシンドロームとは
【一般的医学知識】
バーニングマウスシンドロームは、見た目に大きな異常がないにもかかわらず、口の中に慢性的な痛みや灼熱感が続く病気です。
一般的に「舌痛症」と呼ばれている状態の中にも、バーニングマウスシンドロームに含まれるものがあります。
そのため、この記事では舌の痛みだけでなく、
- ヒリヒリする
- ピリピリする
- しびれる
- 焼けるように痛い
といった症状も含めて解説します。
患者さんからは、
「歯科で異常なしと言われた」
「口の中は正常と言われた」
「でも痛みは確かにある」
という相談をよく受けます。
バーニングマウスシンドロームでは、このような状態が珍しくありません。
よくある誤解
「異常なし」と言われた=異常がない、ではありません
【一般的医学知識】
虫歯や口内炎、腫瘍などが見つからなかったとしても、症状そのものが存在しないわけではありません。
実際にバーニングマウスシンドロームでは、見た目に異常がないことが特徴の一つです。
そのため、
「気のせいではないか」
「自分がおかしいのではないか」
と悩んでしまう方も少なくありません。
精神的な問題だけの病気ではありません
【一般的医学知識】
不安や落ち込みがみられる患者さんは少なくありません。
しかし、
「精神的な問題だから痛い」
という単純な話ではありません。
神経の変化
口の乾き
睡眠不足
服用している薬
全身の病気
など、さまざまな要因が関係している可能性があります。
一生治らないと決まった病気ではありません
【一般的医学知識】
症状の経過には個人差があります。
改善する方もいれば、症状が長く続く方もいます。
そのため大切なのは、
「原因を一つに決めつけないこと」
です。
研究で分かったこと
【論文で示された内容】
2025年に発表された研究では、200人のバーニングマウスシンドロームの患者さんを対象に、
- 不安
- 落ち込み
- 睡眠
- 痛みの強さ
の関係が調べられました。
その結果、
- 不安が強い患者さんほど痛みも強い
- 睡眠時間が短い患者さんほど症状が重い
- 落ち込みは睡眠の質の低下と関連していた
という傾向がみられました。
つまり、
「舌の痛みだけを見るのではなく、不安や睡眠も含めて考える必要がある」
可能性が示された研究です。
ただし、この研究は関連を調べた研究です。
そのため、
「不安が原因で痛みが起きる」
「眠れないからバーニングマウスシンドロームになる」
ということまでは証明できていません。
症状と睡眠・不安の関係
【慢性疼痛ガイドラインの内容】
慢性的な痛みでは、
- 不安
- 落ち込み
- 睡眠障害
- 活動量の低下
が互いに影響し合うことがあります。
例えば、
痛くて眠れない
↓
寝不足になる
↓
疲れやすくなる
↓
痛みに意識が向きやすくなる
という悪循環が起こることがあります。
そのため最近の慢性疼痛治療では、痛みだけでなく生活全体を見ることが重要と考えられています。
受診の目安
【一般的医学知識】
次のような場合は医療機関への相談をおすすめします。
- 痛みが数か月以上続く
- 食事に支障がある
- 体重が減る
- 不安や不眠が強い
- 複数の医療機関で原因不明と言われた
当院での考え方
【当院の臨床的解釈】
バーニングマウスシンドロームの患者さんを診察していると、
「舌の痛みだけ」
の問題であることはむしろ少数です。
- 不安が強くなっている
- 眠れなくなっている
- 口が乾いている
- 何件も病院を受診している
- 痛みのことで頭がいっぱいになっている
など、さまざまな問題が重なっていることがあります。
そのため当院では、
- 痛みの経過
- 睡眠
- 不安や落ち込み
- 服薬状況
- 口腔乾燥
- 生活背景
なども含めて整理しながら診療を行っています。
まとめ
- バーニングマウスシンドロームは見た目に異常がなくても痛みが続く病気です
- 一般的に舌痛症と呼ばれる状態の中にもバーニングマウスシンドロームに含まれるものがあります
- 2025年の研究では、不安が強い患者さんほど痛みも強い傾向がみられました
- 睡眠時間が短い患者さんほど症状が重い傾向も報告されています
- ただし、不安や睡眠不足が原因と証明されたわけではありません
- 痛みだけでなく睡眠や生活背景も含めて考えることが大切です
この記事はこんな方におすすめ
- 舌がヒリヒリする方
- 舌がピリピリする方
- 不安が強い方
- 落ち込みが続く方
- 眠れない方
- 寝つきが悪い方
- 異常なしと言われた方
- 痛みが長引いている方
- ドライマウスが気になる方
バーニングマウスシンドローム・舌痛症でお悩みの方へ
舌や口の中の痛みが続いているにもかかわらず、
異常なしと言われた
原因が分からない
不安が強くなっている
夜眠れない
どこに相談してよいか分からない
という方は少なくありません。
バーニングマウスシンドロームでは、口の中だけでなく、不安や睡眠、服薬状況、生活背景なども含めて整理することが大切です。
当院では、まず初回相談で現在の症状や経過を整理し、考えられる原因や今後の方針についてご説明しています。
「自分の症状はバーニングマウスシンドロームなのだろうか」
「どこから整理したらよいか分からない」
という方は、一度ご相談ください。参考文献
Inside the Fire. Exploring the Impact of Anxiety, Depression, and Sleep Disturbances on Pain Perception in Burning Mouth Syndrome: A Cross-Sectional Study of 200 Patients.
慢性疼痛治療ガイドライン. 厚生労働行政推進調査事業.

コメント