「コーヒーを飲むと舌がヒリヒリする」
「味噌汁やスープがしみる」
「熱いものだけ痛いのに、歯科では異常なしと言われた」
このような症状で悩んでいませんか。
実は、舌の痛みを感じる方の中には、温度の感じ方そのものに変化が起きている可能性があります。
近年の研究では、舌痛症を含むバーニングマウスシンドローム(BMS)の患者さんでは、「温かさ」や「冷たさ」を感じる神経の働きに異常がみられることが報告されています。
もちろん、すべての患者さんに当てはまるわけではありません。しかし、「異常なし」と言われた痛みにも、説明できる仕組みが少しずつ分かってきています。
この記事では、熱い飲み物で舌が痛くなる理由について、研究結果と臨床経験の両方から分かりやすく解説します。
よくある質問
熱い飲み物で舌が痛いのは舌痛症ですか?
必ずしもそうとは限りません。まずは口内炎や感染症、栄養不足などの原因がないか確認することが大切です。
異常なしと言われたのに痛いのはなぜですか?
見た目に異常がなくても、神経の働き方に変化が起きている可能性があります。
ストレスと関係ありますか?
関係する場合があります。ただし、ストレスだけが原因とは限りません。
眠れないと悪化しますか?
睡眠不足によって痛みを強く感じやすくなることがあります。
精神科を受診した方がいいですか?
不安や不眠が強い場合には選択肢になりますが、まずは口腔顔面痛や舌痛症を扱う医療機関で相談することも大切です。
今回取り上げた研究の要約
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象疾患 | バーニングマウスシンドローム(BMS) |
| 対象人数 | 13研究を統合解析 |
| 研究デザイン | システマティックレビュー・メタアナリシス |
| 主な結果 | 温度を感じる機能に異常がみられる患者が存在した |
| 限界 | 研究ごとの差が大きく、全員に当てはまるわけではない |
この記事の要点
- 熱いものが痛い症状は実際によくみられる
- 見た目が正常でも痛みは起こりうる
- 温度を感じる神経の異常が関係する可能性がある
- 不安や睡眠も痛みに影響する
- 原因は一つではない
この記事はこんな方に向けています
- 熱い飲み物で舌が痛い
- コーヒーやお茶がしみる
- 味噌汁やスープがつらい
- 異常なしと言われたが改善しない
- 舌痛症かもしれないと不安
熱い飲み物で舌が痛いとは
熱い飲み物で舌が痛い症状は、舌痛症やバーニングマウスシンドローム(BMS)の患者さんでよくみられます。
痛みの表現は人によって異なります。
- ヒリヒリする
- ピリピリする
- 火傷したように感じる
- 熱いものだけ痛い
- 夕方や寝る前になると悪化する
といった訴えが多くみられます。
特徴的なのは、口の中を詳しく診察しても大きな異常が見つからないことです。
そのため、
「異常なしです」
と言われてしまい、かえって不安が強くなる方も少なくありません。
よくある誤解
異常なし=症状がないではありません
見た目に異常がなくても、神経の働き方に変化が起きている可能性があります。
レントゲンや視診では分からない変化もあるため、「異常なし」と言われても症状そのものが否定されるわけではありません。
精神的な問題だけの病気ではありません
不安やストレスが症状に影響することはあります。
しかし、それだけで説明できる病気ではありません。
近年は神経の働き方の変化についても研究が進んでいます。
一生治らないと決まった病気ではありません
症状の経過は人によって異なります。
適切な説明や治療によって生活しやすくなる方も少なくありません。
研究で分かったこと
今回紹介する研究では、バーニングマウスシンドロームに関する13の研究がまとめて解析されました。
その結果、患者さんの一部では温度を感じる感覚に変化がみられることが分かりました。
特に、
- 温かさを感じる感覚
- 冷たさを感じる感覚
に違いがみられました。
研究者らは、温度を感じる細い神経の働きが関係している可能性を指摘しています。
つまり、
「熱いものがしみる」
「温度の感じ方がおかしい」
という症状には、神経レベルの変化が関係している可能性があるということです。
この研究で分からないこと
重要なのは、この研究だけで原因が証明されたわけではないことです。
研究で分かったのは、
「温度の感じ方に変化がある患者さんがいる」
ということです。
一方で、
- なぜ変化が起きるのか
- それが痛みの原因なのか
- 痛みが先で感覚が変化したのか
- 治療で改善するのか
までは分かっていません。
また、すべての患者さんに温熱感覚異常がみられたわけでもありません。
そのため、舌痛症は一つの原因だけで起きる病気ではないと考えられています。
症状と睡眠・不安・生活の関係
慢性的な痛みは、痛い場所だけの問題ではありません。
睡眠不足が続くと、脳は痛みに敏感になります。
また、
- 不安
- 緊張
- 疲労
- ストレス
も症状を強く感じさせることがあります。
実際に慢性疼痛のガイドラインでも、睡眠や生活状況を含めて評価することが推奨されています。
そのため、
「神経の問題か」
「心の問題か」
という二択ではなく、
両方が影響し合っていると考える方が実際の患者さんには近いことが多いです。
受診の目安
まず相談したい診療科
- 口腔外科
- 口腔顔面痛外来
- 舌痛症を診療している歯科
などが候補になります。
早めの受診を考えたい症状
- 急に症状が出た
- 体重が減っている
- 出血がある
- しこりがある
- 飲み込みにくい
このような場合は別の病気が隠れていないか確認が必要です。
オンライン診療が向くケース
- 遠方で専門医が少ない
- 異常なしと言われ続けている
- 不安が強く情報整理をしたい
このような方はオンライン診療が役立つ場合があります。
当院での考え方
実際の診療では、
「熱い飲み物だけ痛い」
という方もいれば、
「辛いものが痛い」
「歯磨き粉がしみる」
という方もいます。
また、
- ドライマウス(口の渇き)がある
- 不眠がある
- 強い不安がある
といった状態が重なっていることも少なくありません。
そのため当院では、
「舌痛症だからこの治療」
ではなく、
どの刺激で症状が悪化するのか
いつ痛いのか
何に困っているのか
を丁寧に確認することを大切にしています。
病名よりも、患者さん自身の症状を理解することが重要だと考えています。
まとめ
- 熱い飲み物で舌が痛い症状は珍しくない
- 異常なしでも神経の変化が関係する可能性がある
- 温度を感じる感覚の異常が報告されている
- 不安や睡眠も症状に影響する
- 原因は一つではない
バーニングマウスシンドロームでお悩みの方へ
舌の痛みが続くと、
「重大な病気ではないか」
「このまま治らないのではないか」
と不安になる方も多いと思います。
実際には、見た目に異常がなくても症状が存在することは珍しくありません。
まずは現在起きている症状を整理し、自分の状態を理解することが大切です。
当院では初回相談でお話を伺いながら、考えられる原因や今後の選択肢についてご説明しています。
参考文献
Madariaga VI, Tanaka H, Ernberg M.
Psychophysical characterisation of burning mouth syndrome: A systematic review and meta-analysis.
Journal of Oral Rehabilitation.
2020;47(12):1590-1605.
DOI: 10.1111/joor.13028
慢性疼痛診療ガイドライン作成ワーキンググループ.
慢性疼痛診療ガイドライン.

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